2016年11月6日日曜日

UPLINK Cloud、VOD、『バンクシー・ダズ・ニューヨーク』、who's Banksy ?

UPLINK Cloud」というサイトをご存じだろうか。渋谷のミニシアター、アップリンク渋谷が新たに立ち上げた、ビデオ・オン・デマンド(VOD)方式のサービスである。今のところ料金は1作品300円~700円で、購入から72時間は視聴が可能。決済方法はクレジットカードかペイパルで、動画の再生に関してはVimeoを利用している。このニュースを聞いた時、私は「日本もようやく世界に追いつきつつある」となかなか感慨深いものがあった。実はアメリカなどでは、ミニシアター系の映画は封切りと同時にVODで配信されている。そして、それなりの利益を上げているという。通りで、良質なインディ系の映画がどんどん出てくるわけだ。このやり方だと、制作・劇場側は、スクリーンで公開しても利益を上げづらいような映画もある程度のリターンが期待できる。客側からすれば、それまでは観ることのできなかったような作品を、劇場の半分以下の値段で観ることができる。それに、何よりも東京などの大都市でしか鑑賞できなかった作品を、全国どこでも自由な時間に楽しむことができる。これはこのサービスの大きな利点だ。今の所アップリンク渋谷のみがこの新しい試みに挑戦しているが、他のミニシアターも是非これに続いてほしい。これは、日本の映画界にとって大きな契機になるだろう。

早速、私も「UPLINK Cloud」を試してみることにした。ラインナップを見て、迷わず『バンクシー・ダズ・ニューヨーク』を観ることに決めた。神出鬼没のストリート・アーティスト、バンクシーが2013年10月にニューヨークで行った「1日に1個作品を発表する」という活動を収めたドキュメンタリーだ。といっても、バンクシー自体が登場するわけではなく、そこは『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』とは異なる。映画の冒頭でも、「この映画はバンクシーが製作したものではない」との説明がある。しかし、果たして本当にそうなのだろうか。『イグジット~』のような映画を観てしまった後で、その言葉がどのくらい信用できるものなのかは神のみぞ知るといったところだ。今作にはバンクシーの作品に群がる、多くの人間が登場する。追っかけ、胡散臭い画廊のオーナー、作品を盗む人・守る人、バンクシーに反発・便乗する地元のグラフィティ・アーティスト、現代アートの評論家・ライター、そして警察、等々。こうした人達が巻き起こす騒動も含めて「バンクシーの作品」なわけだが、この中の誰が「演出」で、誰がそうでないのか。バンクシーのやり方が余りにも巧妙で、出てくる何もかもを勘ぐってしまう。まあ、この文章を書いている私自身さえも、おそらく彼の掌の上で踊らされているのだろう。まるでキツネにつつまれたような80分だった。





















ところで、バンクシーの自身については「正体不明」ということになっているが、下記のツイートのような噂が広まっている。この映画の中でも、冒頭で確かに「ブリストル出身」とニュース番組のキャスターが言っているのが確認できる。3Dは元々グラフィティ・アーティストだし、これが事実だとしたら納得できる話だ。



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