ATCQやナズのドキュメンタリー、『ゲット・ダウン』『フレッシュに着こなせ』など、なぜかヒップホップ関係の作品が充実しているNetflixに、また一つ重要作品が追加。今作は、90年代にNYを中心に爆発的な人気を誇ったラジオ番組のパーソナリティであるボビート・ガルシアとDJのストレッチ・アームストロングの二人が、当時のシーンの関係者へのインタビューを挟みつつ番組の歴史を振り返るドキュメンタリー。これ、とにかく出演者が豪華。インタビューに応じたアーティストだけでも、DJプレミア、ナズ、ジェイ・Z、バスタ・ライムス、コモン、エミネム、レイクウォン、レッドマン、ファロア・モンチ、ロード・フィネス、ファット・ジョー、etc。もう数え上げたらキリがない!他にも、当時のラジオ放送時のビデオ映像の出演者が多数(冒頭いきなりO.C.からDas EFX!)。個人的に一番アガったのは、ビッグ・Lとジェイ・Zが出演し、ラップを披露した回の音声が流されたシーン。プレミアやジェイ・Zといったビッグ・Lと関係のあったアーティスト(皆ヒップホップのキングと言っていい)がヘッドフォンに静かに耳を傾けていたのが、ビッグ・Lというラッパーの凄さを改めて感じさせる。ロード・フィネスなどD.I.T.C.のメンバーは、涙ぐんでいたようにも見える。このビッグ・Lのラップを聞くだけでも、今作を観る価値がある。
ただ、本当に本当にとてもとてもとても残念なのは、字幕を担当した人がおそらくヒップホップの知識が「全く」ないと思われるところ。固有名詞だけでも、ウータンを「ウータング」、フージーズを「フジーズ」、ビッグ・パンを「プン」、ファロア・モンチを「ファラオ・モンク」、ラージ・プロフェッサーを「教授」(いや、まあヘッズ的にはこれで十分意味は通るのだけどさ…)、「レペゼン」を「象徴する」など、凄まじい誤訳が多数。いや、こんなの序の口で、ヒップホップの知識があって英語の出来る人が真剣に観たら、ホントに数えきれない程あると思う。他にも単純に日本語になっていない訳がかなりあって、頭の中で英語音声を聞きながら足りない部分を付け足して観ていた。そんなでも十分楽しめた内容だっただけに、これはちゃんとヒップホップの知識がある方(できれば小林雅明さん、高橋芳朗さん、もしくはKダブか宇多丸あたり…)にしっかり監修してもらって、完璧なバージョンのものを観たいし、これはそうする価値のある映画だと思う。一つの時代の資料といってもいい。ちなみにオフィシャル・サイトでは、当時の番組を録音したテープを売ってたりする。めちゃくちゃ欲しい。もう売り切れてるけど!
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