ずっとNetflixのマイリストに入れたまま積んでた作品を、この休日を良い機会だと思って幾つか観てみたら、とんでもない傑作があって驚いた。主演がジェフ・ブリッジス、クリス・パインにベン・フォスター、スコアがニック・ケイヴ、監督がデヴィッド・マッケンジー。こんなに豪華なキャスト・製作陣の映画が、日本ではNetflix独占配信とは…。
本作は、基本的には犯罪者とそれを追う追跡者による現代版西部劇だが、それと同時に劇中で保安官のアルベルト(彼は先住民族であり、それこそがポイント)が言うように、この映画は「奪われた者がそれを奪い返す」物語でもある。まず先住民族から移民が奪い、更に移民の中でも貧しい者から富める者が奪い、今では1%がが99%から富を掠め取る、それが今のアメリカ。主人公達はその1%の象徴ともいえる「銀行」(いくら破綻しても政府から助けてもらえる言わば「聖域」)から金を盗み、その金で自分達の所有物だったものを奪い返す。このやり方はまるでビリー・ザ・キッドのような義賊のそれで、この映画の西部劇的な要素を否が応にも強調している。そして最後に、映画は西部劇らしく、当事者同士の一対一へと導かれていく。
それにしても監督のデヴィッド・マッケンジー、『名もなき塀の中の王』と本作しかまだ観ていないけれど、既に大物の趣がある。本作で映し出されるテキサスの荒野や銀行強盗、カーチェイスのシーンを観ていると、「男の映画を撮らせたら世界一」なマイケル・マンと同じような雰囲気を感じさせる。今、屈強な男の物語を撮らせてデヴィッド・マッケンジー以上か同等のクオリティの作品を作れる監督がどれだけいるだろうか。確かドゥニ・ヴィルニーヴが『ボーダーライン』公開時に同じくマイケル・マンと比較されていたが、この両者は同じくらい高いレベルに達しているように思う。
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