「PLAN B」というと、最近ではオスカーを獲得した『それでも夜は明ける』『ムーンライト』を作ったように、高クオリティ且つエッジの効いた映画を作る優秀な制作会社、というイメージが一般的にはあるように思う。一方、自分の中では、「ブラピが自分の意見をゴリ押したオレ映画を作る会社」というイメージの方が圧倒的に強く、それは信じられない程かったるく、まどろっこしい映画だった『ジャッキー・コーガン』を劇場で観てしまったダメージを未だに引きずってるのが大きい(観た当時は事故にでも遭ったかと思った)。ブラピは『それでも夜は明ける』『マネー・ショート 華麗なる大逆転』でしれっと美味しい役をかっさらってるけど、まだあの程度ならプロデューサー権限という名目で許せる範囲。
『ウォー・マシーン:戦争は話術だ!』に関していえば、これは正に『ジャッキー・コーガン』直系というか、ブラピの思想が映画が始まってから終わるまでずっと画面に滲み出ている、久々のオレ映画。アフガンに赴任した米軍指揮官を通してアメリカという国の傲慢さを批判しまくるものの、この映画を観る人の多くはおそらくアメリカのそうした姿勢をもう既に嫌と言うほど知っているし、しかもそれを2時間ひたすら主張され続けると、さすがに辛い。ブラピが指揮官であるマクマホーン将軍を、アメリカの傲慢さの象徴としてピエロのように演じ続ける意図もよく分かる。それでも、キツいものはキツい。
じゃあ見どころが全くないかと言われれば、そうでもない。邦題に「戦争は話術だ!」とある通り、アフガンという戦場を巡っての政治的な駆け引きを含めた「会話劇」としてこの映画を観てみるとなかなか面白いと思うし、マクマホーンのチームのメンバーは、皆キャラクターがよく立っていて、観ている方を退屈させない。そして軍の高官や政治家が交わす机上の空論だけで映画を終わらせるのかと思いきや、最後には対テロ戦争の現場を見せることで、戦争映画としての筋も通している。この辺りは、『アニマル・キングダム』でも同じく監督・脚本を務めたデヴィッド・ミショッドの手腕だろうか。正直、観ていてかなり上手い監督だと思った。もし、ブラピのオレ主張がなければ…。
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