電車に乗り、週刊誌の中吊り広告を見てみよう。あるいは本屋に行き、政治や社会のコーナーで平積みになっている嫌中・嫌韓本でも構わない。普通の神経の持ち主ならば、見るに堪えない見出しやタイトルばかり。私はあのような類のものには嫌悪感を覚えるし、作り手の神経を疑うこともしばしばである。が、その一方で、そうしたものが我が物顔で流通しているということは、この社会にそれを必要とする人々がいるということを示してもいる。
本作でジェイク・ギレンホール演じるルイスは、犯罪行為を行ってでも過激でスキャンダラスな映像を撮ることに執心する。しかし、それはTVの向こうにそれを見たいと感じる「視聴者」がいるからである。資本主義社会における、「需要と供給」というヤツだ。ということは、ルイスの行動に正当な理由を与えているのは「視聴者」であり、言い換えれば、我々人間の本性や本能、そして野次馬的な好奇心がそれを求めているのだと言える。つまり、ルイスはあなたであり、私でもある。これは現代社会の映し鏡なのだ。
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