2015年10月31日土曜日

「虚構」と「現実」 - 『ハンニバル』と『ナルコス』

『ハンニバル』、マッツ・ミケルセンがレクター博士役と聞いて見てみたものの、シーズン1の途中で挫折。そこそこ評判は良かったように思うのだが、私にはマッツ・ミケルセンの華麗な演技以外に見所のないドラマに思えた。ドラマなのでしょうがないところもあるが、毎日のように異常な猟奇殺人が起きるのは、さすがに非現実的。主人公のウィル・グレアム捜査官が殺人現場で犯人の心理をプロファイルする演出(謎の振り子が回って、時間を遡る)も、イマイチというか、どうにも恰好がついていない。そして、このドラマでのウィル・グレアムは、あまりにも繊細な人物として描かれすぎだ。彼は最終的にはレクターを逮捕し、原作である『レッド・ドラゴン』の犯人も殺さなければならない人物であるはずなのだが。





















対して、Netflixオリジナル作品である『ナルコス』。こちらは非常に面白かった。コロンビアの伝説的麻薬王であるパブロ・エスコバル率いるメデジン・カルテルと、コロンビア政府+DEA(麻薬取締局)の戦いの記録。この戦いは、『仁義なき戦い』などの反社会的勢力(ヤクザ、ギャング、マフィア、etc)と政府・警察の潰し合いとはレベルが違う。ほとんど内戦といっていい。エスコバルがどういった人物で、メデジン・カルテルがどのようなことをしてきたか知っていたが、それでも十二分に楽しめた。全エピソードに見所があるといっても差し支えない充実ぶり。エスコバルやメデジン・カルテルのことを知らない人が『ナルコス』を見たら、きっと驚くことだろう。しかしよく言われるように、「事実は小説より奇なり」、だ。虚構の世界を描いた『ハンニバル』が陳腐な枠組みに収まっているのに対して、実話に基づいて作られた『ナルコス』が想像の遥か上を行く展開を見せるのは、道理にかなった話だとも言える。


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