10/23、代官山UNITにて開催された「P-VINE 40TH ANNIVERSARY THE SEXORCIST x NEW DECADE x REFUGEE MARKET」。このイベントのメインステージの最後を飾ったのはBBHだが、実質的な大トリはPUNPEE。持ち時間は30分だったが、もはや貫禄さえ漂うパフォーマンスだった。本人のラップや曲間での観客の心を掴むのMCの上手さに加え、GAPPERとSEEDA(まさかの「不定職者」!)というゲスト陣、この日限定のお披露目となるであろうBUDDHA BRAND「DON'T TEST DA MASTER」REMIX、最後は最新のリリースである加山雄三「お嫁においで」REMIXで大団円。日本語ラップを「エンタメ」の領域にまで押し広げるステージングは、同日に出演したWCBや1982sといった同世代よりも、スチャダラ、ライムスター、KREVAといったマスにまで支持を集めている大御所と比較した方が正しいだろう。
しかしこのステージを見て気になったのは、未だにスケジュールすらはっきりとしないキャリア初の「ソロ・アルバム」だ。観客の反応を見ても、PUNPEEがもう既に日本語ラップ界のスターであることは間違いないし、オフィシャル・アンオフィシャル含め、数少ない本人名義の楽曲も名曲揃いだ。ただそれだけに、リリースに向けて作品に対するハードルがどんどん高くなっているのは事実だろう。その点を考えると、あっさり1stと2ndを発表した5lackの戦略(あったかどうかは不明だが)は、賢いやり方だったと言わざるを得ない。
前述した現在発表されている楽曲も、実は不安要素の一つだ。どの楽曲も高いクオリティを保持しているが、私には全て「シングル」向けの楽曲のように聞こえる。「アルバム」は当然それ自体が一つの作品やストーリーとして提示されるべきで、全ての曲が強い個性を主張しているようではアルバムとして成立し得ない。それは、もはや「ベスト・アルバム」とでも言うべきものだ。
もしかしたら、PUNPEEはそうした「ベスト・アルバム」や作品集といった形でのリリースを考えているのかもしれない。というか私には、この時点でそれ以外のアイデアが思いつかない。PUNPEEのことだから、ファンの期待を吹き飛ばすような「作品としてのアルバム」を発表することもあり得る。ただ、ファンからのあれだけの期待を上回るだけのクオリティを持つ作品を作り出すことは果たして可能だろうか。PUNPEEの正に「待望」の「ソロ・アルバム」は、まだまだ随分先のことになるような気がしてならない。
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